「地元の友だちと育つこと」 

地域で育ち18歳をむかえる子どもたちに、「一番大切なものはなに?」と聞くと「ともだち」という答えが返ってきて「一緒に大学に行きたい」と言う。

2012年から強化された〝地域でともに育つための支援施策〟は、その子どもたちの願いをかなえるものになっているだろうか。

保育所や幼稚園から共に育ち、進学し、高等教育を受ける。今の時代、あたりまえの教育の機会を障害ゆえに損なわれていないだろうか。

同じ区内でも、医療ケアがありながら進学するこどもと、小学校ですでに地域から外れてしまう子どもがいる。様々な選択があることは察するが、本当に充分な吟味が行われ、子どもの希望にこたえられているのだろうか。

地域生活を健康で安全にすごすために、「かかりつけ医」「地域リハビリテーション」「相談支援員」は、必須である。


彼らの多くはNICUを経由し、遠い専門機関で診断を受けることが多い。しかし、自宅にもどり日々の生活に必要な医療的判断と対応を得るためには、身近なリハビリテーション職がかかりつけ小児科医や相談支援員と連携して、迅速に学校生活や家族も含めた福祉サービスを提案していくチームを組むことが重要であると考える。

イギリスでは、3歳には総合的な評価がとりまとめられ就学への方向性、必要なサービスが行政の責任で提供される。そして常に、家族はこどもをどのように育てたいかインタビューされ、将来にむけたチーム会議を重ねて18歳で自立に至る。

日本の子どもたちにはそのような「環境」が平等に与えられているだろうか。

すべての子どもたちが仲間とともに成長し、将来に夢を持てる環境を

障害とともに生きる子どもを受け入れられる保育機関、就学機関が増えてきている。しかし、他の子どもたちがそうであるように、彼らにとっても、保育所や幼稚園、小学校に〝参加できること〟が最終目標ではない。すべての子どもが当たり前に、地域で育ち、仲間とともに成長し、将来に夢を持てることが小児リハビリテーションの目標と考える。

時期に応じて、教育、医療と福祉サービスの調整を行い、「同年齢の子どもたちとともに生活する手立てや、親からの自立の段階づけをサポートすること」がチームの共通目標として取り組まれ、子どもと家族の希望にこたえていく。

児童発達支援、放課後デイサービス、保育所等訪問支援事業を必要に応じて経由し、塾や習い事、独立した登下校や放課後支援のための移動支援やボランティアへと切り替えていく。そのようにして医療福祉と地域との橋渡しをしながら、「子どもの自己決定や自尊心を育て、基礎学力と自立心を根気よく積み重ねるサポートをすること」がであろう。

小児リハビリテーションに専門家として携わる者として

専門家として子どもの個別性を評価し、先を見通した提案を行っていくために、まず、専門家と親が地域で社会資源の情報を共有することが重要である。自身に何ができて、何ができないかという現状の把握や、制度やルールの中で「何をしてもらえて、何はしてもらえないか」という情報は、その先の適切な環境調整や段階づけを考える中で不可欠である。
子どもを支える大人たちが志を共にし、子どもの声に真摯にむきあい、ライフステージを満喫できる生活を提案すべきだと考える。

投稿者プロフィール

伊藤 直子
伊藤 直子
大阪市出身

1歳半の時にポリオに罹患し、左足が弱い.

高校時代、大阪市長居障がい者スポーツセンターから水泳で全国大会へ出場し金メダル獲得.そのような経験を多くの子どもたちに伝えたくて作業療法士を目指す.

国立療養所近畿中央病院付属リハビリテーション学院作業療法学科卒業.

34年間、近所の小児リハビリテーション病院で勤務.在職中はロフストランドクラッチでアメリカやヨーロッパに単身遠征.管理職となると同時に大阪市立大学商学部で経営学を学ぶ.

早期退職で「かなえるリハビリ訪問看護ステーション」に転職.

訪問作業療法による在宅支援に加え、保育所や学校への訪問支援を開始.

静岡の聖隷クリストファー大学大学院で作業科学や作業療法科学を修了.

現在は、森ノ宮医療大学で大学生の作業療法教育に携わる.

生まれ育った大阪で、子どもたちが成人し、親から自立していく過程で、声をかけられたらいつでも対応できる街の作業療法士でありたい.

趣味は、50代で結婚した夫とアジアを旅行し、美味しいものを食べること

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