ことばを育む 親子の時間 ~〝ことば〟を話したくなるアレンジレシピ②~

ことばを育むシリーズの続編で、引き続き、ことば(語彙)の発達を促すテクニックの話をお送りしようと思います。

前回のミラリングに続き、今回はセルフトーク、パラレルトーク、
そしてもう一歩進んだリフレクティングの技法を具体例とともにご紹介できればと思います。

まずはミラリングとともに、まだ話をしない赤ちゃんから大人までずっと使える小技を二つ。

セルフトーク】 (大人が自身の行動や気持ちを言語化する)

例)大人がトイレに立つとき「チッチ 行ってくるね 待っててね」
ゴミを捨てに行くときに「ゴミ ポイポイ してくるね すぐ戻ってくるからね」
ごはんを作るとき「いま んまんま 作ってるよ~ おいしいかなぁ~」など

大人の行動を、子どもが真似しやすい言葉(オノマトペやいわゆる赤ちゃん言葉など)にアレンジして常に説明するという技法です。

【パラレルトーク】 (子どもの行動や気持ちを言語化する)

例)子どもが転んで泣いているときに「転んじゃったね 痛かったね びっくりしたね もう大丈夫だよ」
子どもが本を選んでいるときに「本 読むの? (お気に入りの本を何冊か見せながら)こっち?こっち?どっちにする?(指差しや視線で意思を伝えられるように)」
ブロックを組み合わせようとっしているときに「カーチ!くっついたね!」
殴り書きをしているとき「かきかきかきかき~上手に書けたね~」 など

子どもがしていること(現象・事実)を言葉に変えてあげたり、笑顔と泣き顔で表される「快」「不快」の表出を、より豊かな表現(「おもしろいね」「楽しいね」「痛かったね」「びっくりしたね」など)に置き替えて、「ことば」と「感覚や行動」を結びつける技法です。

ここで注意すべきは「本当にそういう気持ちか、どういう目的でやっている行動かわからないことは決めつけない」「事実だけを代弁する」という点で、
例えば、転んでしまっても泣いてもいないのに「痛かったね!」では本当にそうかはわからないわけで、
「あーころんじゃったね、大丈夫?痛くなかった?」など、固定観念で勝手に答えを決めずに、不明確な点は質問して、主導権や意思決定権はあくまで子どもにあるという意識を持つことが大切です。
そしてできるだけ正確に言語化する機会を生み出すためにも子どもをよく観察し、「子どもを知ること」が大切になります。

育てるのは「自分自身」
だけど
大人は精一杯手伝うよ!

この二つの技法は幅広く、いろんなタイプ、年代の子どもに(大人になっても)使えます。

ここでも子どもたちはSOULやミラリングのときの姿勢でこちらの様子を見ているので、
「話す機会を増やしたい」という状況においては、周囲の大人が「黙って行動する」よりは「行動を言葉にして表出する」場面を増やすという意識を大人の方が高めて行動することは大切です。

大人が話さないのに、子どもは真似しようがないので、大人はどんどん話しましょう♪
言葉のシャワーというやつですね。
(ここでも真似してもらえればラッキーくらいの心持ちで♪真似しやすさを意識しながら)

そして今日はもう一つ、これはある程度ことばが出始めたお子さんに、もっとしゃべりたくなるように励ますために使っていく技法も一つ紹介しておきます。

【リフレクティング】 子どものことばをもう一度繰り返す(言い誤りを正しく言い直して聞かせる) 

例)―パンをもって「パンパン」と言ったのに対し「パンパン!食べたいの?」
―靴を持って「くっく」といったのに対し「クック!お外行きたいの?クック履いてお散歩行く?」
―ママを指さしながら「ぱーぱー」  に対して「お!なーに?マーマって呼んでくれたの~?」
―猫を見ながら「わんわん」 に対して「お、わんわん!猫さんいたね~わんわんと似てるね~」
―「こわくない」を「こわいない」と言い間違えている場合「お、すごいね!こわくないの?強いね~」 など

というように、言えている言葉をそのまま繰り返して大人が使ったり、
間違いを見つけても指摘して直すのではなく(「こわいないじゃなくて、こわくないだよ~」ではなく)
あくまで、「そうだね~」「そうだよ~」という調子で、表出しようとしたことそのものを肯定しつつ、正しい表現を聞いてもらうという感覚で行うものです。

「わんわんじゃないよ、にゃんにゃんだよ」なんてつい言い直させたくなってしまったり、
「パパじゃないよ~ママだよ~」なんて言い直させたりしないと間違えて覚えるのでは?と心配されるかもしれませんが、

大丈夫です!!!

繰り返し耳にしたり、間違えながらも楽しく話し続けているうちに、必ず正しい音を覚えますし、
発音そのものの苦手さだとしたら、発音の練習の方法はちゃんとあるので、今はまだ、正しさよりも「話そうとしていること」そのものの思いや心意気を受け取ってあげてください

逆に、本人が「うまく言えない」「みんなに聞きなおされる」「ちゃんと喋りたい」など気にし始めたら、どうぞそのまま頑張らせず、小児科医や耳鼻科医、言語聴覚士にご相談ください。

前回お送りしたミラリングが、まさにその代名詞なのですが、
コミュニケーションスキルを拡大するこれらの技法は、言葉だけでなく潜在的な意識(無意識な意識)のようなところまで子どもに伝播する技法となっています。
「子は親を映す鏡」なんて言葉があるように、本当に全く意識していないようなことまで、子どもには見られてマネされてしまったりもします。

うわ!そっくり。笑
そこか~!そこが似たか~!!笑

無意識なふるまいや話し方などに「気を付けなければ!」と自分の姿を省みるきっかけにもなりますし、
逆に、子どもに「こう生きていってほしい」という姿(言動や行動、意識)を見せる(魅せる)だけで、鏡のように子どもたちに「大切なことを伝えることができる」という捉え方もできるのです。

お洗濯男子♪
増産大歓迎♪笑

大人だって間違いは多いし、真似されては困るような姿を見せてしまうことも多々ありますが、
こんな考え方真似したい・・・こんなふうになりたい・・・

大人って面白そう!!

と思ってもらえるようなモデル(大人)でありたいなと私自身、常々思っています。

次回は、ことばを話したくなるアレンジレシピシリーズ③(インリアルアプローチの紹介・最終回) で【エクスパンション】【モデリング】のやり方をご紹介します。
子どもたちのことばの世界を、楽しみながら深く大きく拡げるお手伝いができれば幸いです♪

投稿者プロフィール

堀川 由樹子
堀川 由樹子
鹿児島県出身
広島県立保健福祉大学
保健福祉学部
コミュニケーション障害学科卒業
言語聴覚士国家資格取得
母親 9年生 (個性豊かな3兄妹と夫と暮らす)

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