からだを育む 親子の時間〜道具を上手に使うには?〜

小学校に入るまでに、鉛筆やお箸、はさみを上手に使わせたい!
と思われるお母さんも多いのでは?

作業療法士(OT)として、就学前のお子さんの支援が始まるときに多い相談ごと。
それは「鉛筆やはさみがうまく使えない」と道具に関することです。

OT支援を行っているお子さんの、とあるエピソード。
なかなかスプーンがしっかり持てず、手づかみで食べることもしばしば。
スプーンが使えるように練習したり、スプーンの持ち手の形状を工夫したり…試行錯誤。

ある日、その子の食事の様子を見ていると、こぼさずにご飯をすくえるようなっていたのです。

あれ?なぜ急に?
OTセラピストは「何か特別に練習しました?」と母に尋ねます。
母、「いえ、特にしてません。」

OTセラピスト、「遊びの中でスプーンを使う遊び取り入れました?」
母、「いえ、特にはしてないです。」

特別な事してないのになぜ?と、お母さんに最近のお子さんの様子をお伺いすると、「最近、公園が大好きで毎日ジャングルジムに登ってます」と。

そうです。
道具を上手に使うコツ、それはまずは『しっかり握れること』『からだを沢山動かすこと』です。

体を動かすといっても、ただ運動をするだけではなく、「手を使う運動を取り入れる」ことが大切です。

私達の日常生活において、手は「持つ」「道具を使う」こと以外にも、非常に多くの役割を担っています。

その中でもとても大切な手の役割の1つが「体を支えること」です。
赤ちゃんが寝返り、ハイハイ、つかまり立ちをするとき、手の支えが必要ですよね?
体を支える役割、この経験が後の道具を使う時の手に関係しています。

未来の自分のために手を鍛えてます!

ハイハイでは、腕で体を支えることで、肩周りの力がつきます。
肩周りの力がつくと、腕や手を楽に使うことに繋がります。
また、てのひらを床につけることで、手のアーチといって道具を使う土台となる手の形が出来上がります。

また、おもちゃを握って、打ちつけたり、叩いたりなど…赤ちゃんはこうやって物の硬さや柔らかさなどの特徴を手を通して確認しています。

自分の興味のおもむくままに動いて、触って、確かめて…こうやって道具を使う手になるための準備をしているのです。

では、このような時期を過ぎたら、手遅れなのでしょうか??

そんなことはありません!
手を使いながら体を動かす遊びは日常にあふれています。

家の中では、物を両手で運ぶ、雑巾でお掃除をする、お風呂でお父さんの背中をタオルでゴシゴシ洗ってあげる、など日常のお手伝いで何気なく出来ることもあります。

公園では、滑り台、ジャングルジム、四つ這いになりながら山や坂を登ったり、手で支えながら体を動かすチャンスはたくさんあります。

そして、スポーツでも。
例えば、綱引きで綱を引っ張るという動きは、手で握る力を強くします。

絶対はなさない!はなすと落ちるよ!

落ちないように絶対はなさない!負けないように引っ張るぞ!
そんな子どもの気持ちが自然と体を強くしていって、手にも伝わってきます。

他にも手で握るスポーツはたくさんありますが、私のオススメはヨット。
ヨットは、風や波に合わせて両手でロープを引っ張ったり、緩めたりと自然に手と体をフルに使うスポーツです。

全身で風や波を感じて、頭と体と手をフル回転!

子どもの発達には、からだ、手、ことば、こころなど、様々な要素がありますが、分解して身につくのではなく、相互に作用して日々成長しています。

このように、手は日々の生活のなかであらゆる役割を担っています。

子どもの手は道具を使うときだけではなく、どんな場面でどんな風に使っているのか、よぉーく観察していると新たな発見があるかもしれませんね。

投稿者プロフィール

竹中 佐江子
竹中 佐江子
作業療法士 子育てしてないけど、子どもの可能性に魅了された人
大阪府出身 神戸大学医学部保健学科卒業後、作業療法士として、18年間子どもの支援に携わる。(株)東京リハビリテーションサービス 取締役

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